お風呂上がりの望遠鏡
加奈ちゃんは黄色のタンクトップ姿。
神妙な面持ち。
加奈ちゃんはうなずき、そして腰掛けた。
腰掛けると加奈ちゃんはあごの辺りまでしか見えない。
押領司クンの姿は見えないが、加奈ちゃんの視線がずっと後を追っている。
回り込むように押領司クンが現れ、加奈ちゃんに黒い袋を手渡した。
あっ、違う。黒いTシャツだ。
加奈ちゃんは白い歯を見せて、それを受け取り、腕を通した。
押領司クンも加奈ちゃんの隣りに腰掛けた。
何か話しかけている。
そして、顔をのぞき込むようにして加奈ちゃんの頭を撫でた。
ああ、じれったい。
私は押領司クンのくちびるの動きを読み取ろうと試みる。
でも、やっぱり無理。
あきらめた。
しばらくすると、二人は立ち上がり、視界から消えた。
そして、明かりも消された。
私は壁の時計を見上げる。
まだ、11時前。
どうしよう。
私も部屋を飛び出した。