ポケットに婚約指輪

 帰りの電車に揺られながら、景色を眺める。
何の変哲もない都会の町並み。
特に癒される何かがあるわけでもない。

そして頭のなかを巡るのは、食事をしている里中さんと刈谷先輩の姿。

里中さんには全くその気が無かったようだけど、あれだけ押しの強い刈谷先輩に言い寄られたらどうにかなっちゃう?

自分でお願いしたくせに、二人が気になるなんて情けない。

時間が早く過ぎればいいのに。
彼と刈谷先輩が二人きりでいると思うだけで胸が痛い。


 自宅の最寄り駅についてからも、部屋でじっとしているのに耐えられそうに無いから、駅前のスーパーをぶらぶらした。

この時間帯は値引きタイムらしく、赤い値引きシールを張られたものがたくさんある。

私は何を食べよう。
お魚の焼いてあるのを買っていこうかな。

ぶらぶらとスーパー内を回っていたら、30分以上は経っていたのかもしれない。

足がジワリと痛くなって、おもむろにレジに向かう。

レジ前には時計があって、見ると20時だ。
きっとまだ二人は食事中かしら。

< 139 / 258 >

この作品をシェア

pagetop