ポケットに婚約指輪

「これコピーとってくれる? ちょっと多いんだけど、50部ずつ」

「は、はい」


受け取ってじっと見ていると、舞波さんは私をちらりと見て鼻を鳴らす。


「……なに?」

「いいえ。分かりました。50部ずつですね」

「そう。ちゃんと聞いててくれて嬉しいよ」


長いコピーの待ち時間、なんとなく視線を感じて落ち着かない。

ばらしたりなんかしないから、こっちを見ないで。
どんなに昨日の一言が悔しくたって、そんなことしたら私も終わりだもの。

顔をあげると、舞波さんと目が合う。
注がれてる視線からはただ威圧感のみが漂っていて。


【言いなりだから】


そうならなければ私には価値がない。
それを重ねて言われているようで辛かった。



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