ポケットに婚約指輪


「今の私でも、……好きでいてくれますか?」


目を丸くした司さんは、何かを辿るように視線を泳がせた。


「……誰かになんか言われた?」

「や、そういう訳じゃ……」


無い、といったら嘘だ。私は美亜さんの言葉を気にしてる。


「……ただ、司さんの好みと違うのかなって」

「もしかして美亜ちゃんか」


何ですぐばれるんだろう。
司さんは勘が良すぎる。

小さく頷くと、彼は苦笑してお茶を差し出した。

それを手に持ち、ベッドを背もたれにしてテーブルを囲むようにして座った。

喉を通る温かいお茶は、体内に残ってるアルコールを洗い流してくれるみたいにすっきりしていた。


「美亜ちゃんとは一時期付き合ってたんだ」

「ええっ」

「学生の時にほんの一ヶ月くらいね。付き合ってたって言っていいか迷うくらい何にも無かったけど」

「で、でも」

ハキハキして綺麗で素敵な美亜さん。
それこそ、私なんかとはタイプが違う。

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