ポケットに婚約指輪

「ここも、ここも」


指先の一本一本や耳の後ろ、髪の毛など今まであまり触れられたことがないようなところを、彼の唇は丁寧になぞっていく。触られるたびに体の奥が熱くなって、じっとしてられなくて体をよじった。


「ん、はあ」

「好きだよ、菫」

「ん、私も、です」

「ちゃんと言って」

「司さん、……大好き」


体が火照ってきた頃、彼の手は刺激の強い部分に移っていく。
もうほかの事は何も考えられないような衝撃が私を襲って、彼にしがみ付くのが精一杯だ。


「あ……ん、もっと」

「ん」


普段口に出来ないような欲求が、どんどん口から零れだして。彼はそれを嬉しそうに、キスをしながら受け止める。


「私と、ずっと一緒にいて」

「うん。一生一緒に居ようか」


まるでプロポーズにも似た言葉に、頭の中が蕩けそうになる。
目を瞑って、彼の全てを受け入れて、私はその熱に溺れた。
こんなに幸せな気持ちで誰かと重なるなんて初めてかもしれない。


「このまま溶けて一緒になっちゃえばいいのに」


朦朧とした意識の中で、そう呟いたら笑われた。


「俺は嫌だな。こうして別々の人間でいるからこそ、触れ合う事が嬉しいんじゃない?」


彼はもしかしたら、とても甘えたがりな人間なのかもしれない。
意識を失う直前に思ったのは、そんなこと。

あなたは、自分が愛されてるって確認したい人なんだ。

ねぇ、だったら。
私が傍に居ることで、あなたは幸せになりますか?

私はあなたが大好きだから。それだけは自信が持てるから。

あなたが私を幸せにしてくれたように、私もあなたを幸せにしたい。


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