ポケットに婚約指輪
翌朝出社すると、刈谷先輩は先に来ていた。
今日は短い丈のスカートをはいている。気合十分という感じ。
お化粧もばっちり決まっている。
「菫、分かってるよね?」
「何がですか?」
「今日の食事の話。協力して? 途中で抜けてくれないかなぁ」
「え……」
でも。
里中さんは私と抜けようって言ってたのに。
「あの、でも」
「頼んだわよー」
肩をぽんと叩いて、刈谷先輩は鼻歌を口ずさみながらもう違うことを始めている。
いつだって、私の話なんて聞いていない。
刈谷先輩はいつもそう。
私なんて、とるに足らない女だから。
舞波さんだってそうだ。
どうとでもなる女だから。
……だからキープしようと誘いをかけてる。
きっと、馬鹿な女だと笑いながら。