ポケットに婚約指輪

「さあ、ついたよ。ここ」


里中さんが立ち止まったのは、路地の一角にありながらも、壁が石畳風になっているまるで外国のような雰囲気をかもし出しているお店だった。

一歩立ち入り、その素敵な内装に心を奪われる。

全体が漆喰で作られた壁で窓の黒色の格子がアクセントになっている。

天井には小さなシャンデリアが何個も点在していて、入り口のベンチには順番を待つ人が数人いるけど、その手すりの細工も見事なものだ。

レジ前には青い鳥の置物。
まるで今にも歌いだしそうなほど躍動的だ。


そこから、背の高い女性店員が出てきた。
目鼻立ちがはっきりしていて、金髪に近い薄い茶色の髪を一つに纏めている。
そして、私たちに向かって緩やかに笑う。


「いらっしゃいませ」

「予約した里中ですけど」

「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」


促されるまま4人がけの席へと導かれる。

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