ポケットに婚約指輪



「お、お待たせしました」

今は14時20分。
早めに来たつもりなのに、里中さんはもう来ていた。

「早いですね」

「そっちこそ。女の子って遅れてくる方が多いから、ちょっと意外だった」

「そうですか?」


里中さんって、結構女の子の一般事情みたいなのが話に出てくるけど、そんなにたくさんの女の子を知っているのかしら。


「時間は気になるほうなんです」

「いいね。社会人って感じで。お陰で話す時間も増えるしね。さ、行こうか」


笑って、私の背中をポンと押す。

繁華街は人もたくさんで、ぼうっとしてるとすぐ人にぶつかりそうになるけど。
里中さんはエスコートもスマートだ。さりげなく人波の開けた方に誘導してくれたり、ぶつかりそうな時は引っ張ってくれたりする。

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