ポケットに婚約指輪


「何でそんなに警戒してるの。久しぶりに会った同僚に」

「け、警戒なんて」

「お土産、見てくれた?」

「まだです」

「そう。結構厳選して選んだんだけどなぁ」


くすくす笑いながら、隣の席に座る。
距離の近さに私は座りなおすようにして少しだけ離れた。


「指輪、会社じゃつけてないの?」

「え?」


頬杖を突いて、私の顔を正面から覗くような仕草をする。


「……やっぱりあれはダミー? だよね。菫には結婚間際の彼なんていなかった。それを一番よく知ってるのは俺だ。まさか俺と別れた半年の間にそこまでの関係の男が出来たわけじゃないんだろ?」


ああ、結婚式の時につけていた、ペリドットの指輪のことを言っているのか。

そう思いついたときには、薬指を撫でられていた。
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