好きと言えるその日まで
 *


 さっきの嬉しそうな顔はどこへやら。


 なぜかとぼとぼと俯いて歩く葛西のところに戻って荷物を取りあげた。


 全く。


 重くて歩けないくらいなら早く言えって言ってるのに、手のかかる奴だ。


 「え、あ……大丈夫、です」

 「いいから。行くぞ」

 「……はいっ」


 なんだ?

 
 やっぱり元気そうか?


 ちょっと暗い感じがしたけど、杞憂だったようでホッとする。


 上のスタンド席に上がって、俺らのチームの方に案内する。


 何が面白いのか、そわそわキョロキョロする葛西。


 ほんとに面白い奴だ。



 「ここ、置いとくぞ」

 「あ、はい! あ、でも……」

 「何?」

 「タオルをいつ渡せば……」

 「タオル?」


 あいつの分けわからん質問に、俺は首を傾げた。


 タオルって何だ?


 あいつは何をしようとしてるんだ?


 「タオル! 渡したいんです、先輩に」

 「あ? あぁ……ありがと。今もらうけど」

 「じゃなくて! 野球してる時に、ベンチ戻ってきた先輩に、ハイってしたいんですってば!!」


 はぁ?


 コイツは何を言ってるんだ?


 しかも顔めっちゃ赤いし。


 意気込む葛西の表情に思わず笑ってしまった。



 *
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