BrandNewDay
 蓮の身体に入った俺は、廊下にあった鏡を見ていた。この身体だと、妙に身長が低くなって自分(蓮)の体の細さに改めて自分の身体じゃない、そう感じさせる。

 鏡をよくよく見ると、濃い青の瞳に、長い黒髪が蓮の茶色いショートの髪に混じり込んでる。これ、バレないのかな?ま、バレたらヤバいなぁ。いや、こりゃあバレそうだ。

 俺は思うんだ…蓮がずるい、体は弱いし、こんなに細いのに命はまだこの世に続くんだ。俺、体力面では自信があったのに、もうその体力面をこの世で発揮することも、蓮を守ることすらできなくなる。

 だからと言って、蓮の命を狙ったり、蓮の身体を乗っ取るのもどうかと思った。でも、俺は嫌なんだ。この世から去るのが。蓮と別れるのが…。そう思って蓮を俺と同じ世に連れていこうと思った。けれど、苦しむ蓮を見て、これじゃいけない、俺は蓮を守るって約束したんだ。だから、身体に入って蓮を守る、本人には伝えてないが、そう考えた。

 冷たい態度とったのは、死んでしまう自分が情けないとか、自分は体力面では強いのに弱々しい蓮が生きて俺はその側で生きていけないこととか、蓮があのドッペルゲンガーズ(芥と蛍)とかと一緒にいるのが気にくわなかったり、ドッペルゲンガーズが蓮にちょっかい出したりしてるから……俺、本当、子供っぽい……。

 「あ、あー…」

 ……蓮の声だっ!すげーっ!

 俺はなんか嬉しくなった。

 「あれ?蓮、用事だったんじゃないの?」
 「なに、鏡見てニヤついてんだよ?気持ち悪りーな…」

 !…ドッペルゲンガーズきたぁっ!!

 「な、なんでもね…なんでもないよ!!用事はもう済んだんだ」

 危ない、危ない。つい自分の口調で言ってしまうとこだった。

 「じゃ、教室戻ろーぜ!」
 「あ、5限目、小テストあるらしいよ」

 え……。小テストぅ?何の?ヤバい、俺、頭良いほうだけど蓮ほどは良くない!
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