BrandNewDay
 「羽音、お前俺を成仏させようってのか?」

 「蓮さんの茶髪に黒い長髪が混じり、瞳の色は濃い青の目。そして口調も……もしやと思い申し上げますが、如月千鶴さんですね?」

 羽音くんは冷静だった。千鶴が亡くなったことを知ってるのか知ってないのかわかんないけど、ただ僕にのりうつった姿の千鶴を真っ直ぐに見つめてた。

 「お前はこの姿が見えんのか…如月千鶴だったら何なんだよ?」

 多分、今僕の姿の千鶴は羽音くんを睨んでいるのだろう。

 「千鶴さんは、何かを怨んでいるのですか?」

 「怨んでない。ただやらないといけないことがあるからこうして蓮に住み着いたんだ」

…やらないといけないこと?

 「そうですか、では、そのやらないとならないことをやり遂げたらボクがあなたを成仏させますよ?」

 「ああ、それでいい。ただあと今日を含めた二日間待ってほしい」

 「…わかりました。ただあなたは霊なのですから何があるかわかりません。蓮さんに危険なことがあったとなればボクは即効であなたを排除いたしますよ?」

 「…ああ、わかってる」

 羽音くんはそのままくるり引き返すと歩き出した。

 (羽音くんってそんな力あったんだ…千鶴、排除ってどういうこと?)

 僕は千鶴に問うと、千鶴は声のトーンを低くして言った。

 「(天国にも地獄にも逝けない。つまり、簡単に言うと罪を犯した霊は魂ごと消される…ってこと…)」

 (……千鶴は排除されないよね?)

 「(俺が罪を犯さなかったら)」

 でも、千鶴は今日を含めた二日間待てって言ってた。二日…?

 なんで二日なんだろう…?それにやらないといけないことって?

 千鶴はまた僕の中で魂になり、僕の身体を返してくれた。

 「よし、もう帰らないとね」

 僕は足早に学校を出た。
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