BrandNewDay
 「豊(のぼる)さん、帰ってくんの!?」

 良かった、どうやら機嫌を取り戻してくれたようだ。豊って言うのは兄さんの名前だ。

 「帰ってくるに決まってんじゃん…ここが家なんだから…そろそろだと思うんだけど…」

 「よしっ!そうとなったら豊さん迎えに玄関で待ってようっと♪」

 千鶴は俺の部屋から走って飛び出した。バタバタと足音が家中に響き渡る。うるさ……。これ僕以外の人がいたら、心霊現象だって騒ぎになるよなぁ…。

 「あっ、おい!お前どうせ霊なんだから兄さんには見えな――あー、行っちゃったよ…」

 本当、どこまで子どもなんだよ…。

 僕も千鶴の後を追う。

 『ただいまー』

 兄さん帰ってきた!

 「お帰りなさいっ!豊さん!」

 だから、そんなに言っても無駄だってばー!

 「お帰り、兄さん」

 玄関に行くと、兄さんはぽかんとして三秒くらい沈黙。そして兄さんはごしごしと目を擦って、また前を見る。

 「ん…ただいま…目の錯覚か?」

 「兄さん?」

 兄さんは不思議そうな顔をしてた。

 「なぁ、蓮。変なこと聞いてすまないが、隣に千鶴くんがいる気がするのはオレだけ…?」

 は?いや、横を見ると普通に千鶴は立ってるけど…って…

 「えぇぇぇぇぇ!?」

 何で兄さんにも見えてんのっ!?
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