赤き月の調べ



 同じような男を見つけたのは、今夜だけで三人目。


 うんざりしながら、地面に両膝をついている男に近づいた。


 腐敗臭と恐怖の匂いが鼻を突く。


 思わず彼の喉から唸り声がもれた。


「終わらせてやる」


 彼は男の頭と胸ぐらを掴んで引き寄せると、最も脈打つ首に噛みついた。


 噛みついた瞬間に絶叫が響き渡ったが、喉まで噛みきると絶叫は途絶え、ごぼごぼと大量の血を吐いて息絶えた。



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