赤き月の調べ
それに比べて、正反対だといえる希空。
烏みたいで気味が悪いと思っている黒髪に、薄茶色の瞳。
背は低く、痩せても太ってもいない中途半端な体型。
おまけに感情表現が乏しく、人とうまくやっていけない難点まである。
学生時代の成績も、平均点以下でも以上でもない普通なものだ。
気が滅入ってくる。
じっと見つめていたけど、誰にだって聞かれたくない話があるはずだ。
希空は車から離れて空を見上げた。