腐っても、青春
青春ってやつは
朝から降っていた雨が上がって、春の終わりの生暖かい風が吹いた。


春が過ぎて夏になる。
季節が移り変わる瞬間が、文庫本のページをめくるようにわかった。



オレは校舎と旧校舎を繋ぐ中二階の渡り廊下にいた。


雨の匂いが、漂っている。



オレは一体どうしたいんだろう。


考えても答えが出ない問題は、いつまでも頭の中に残る。



「加藤、何やってんの? こんなとこで」

大石が渡り廊下に姿を現した。

オレはビックリして、少し焦った。



「考え事…かな」

「考え事って、オレのことか?」


大石の言葉に、オレは何も返せなかった。


「おいおい、そこで黙ったら肯定してるみたいだぞ」




 
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