甘い蜜
智哉が来店した日は、凛はいつも嬉しそうな顔をする。
もちろん今日も。
「みーちゃん着替えにいこう」
満面の笑みで、あたしと更衣室に向かう。
ーーー凛は気付いてないんだ。
あたしがまた、アフターに誘われなかった事。
あたしは着替える前に、煙草を咥えた。
ーーーあたし、何でこんなに落ち込んでいるんだろう。
今日も翔琉に誘われなかったから?
アフターなんて嫌いだったのに。
あたしはため息をついて、煙草に火をつけようとした。
すると、
「みーちゃん、先に着替えて」
凛はあたしの口から煙草を奪った。
「なんで?」
「コンビニ付き合ってほしいの」
ーーーコンビニ?
「智哉とアフターは?」
凛はアフターに誘われたんじゃないの?
「智哉のアフターまで時間があるの」
凛はそう言って私服に着替え始めた。
ーーーま、ちょうどいいか。
あたしも煙草買いたいし。
あたしは凛に言われるまま、ドレスから私服に着替えた。