Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】




私の唇には、
生暖かいものが触れた。



ただ……それは、
私が期待したものとは違って
少ししょっぱかった。





涙?






手を伸ばして、
彼の顔を引き寄せると
思わずその涙を
ペロリと舐めとる。




驚いたような表情を見せて
固まる彼。




そんな彼に私は
自分自身から
唇を重ねた。




こんなにも自分が
積極的になれるなんて
想いもしなかった。






もう恋なんてしない。



誰かを
愛するなんてしない。






ずっと
自分に言い聞かせて
生きてきたのに。





自分でも
信じられないくらいの時間が
今、自分の中に広がっていく。






私が焚きつけた行為に
彼の火が付いたのか
ゆっくりと、
彼の舌が私の唇を
割って侵入してくる。




二人だけの音楽室。


グランドピアノに
押し付けられるような形で
始まった……愛しい時間。

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