Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】







一秒、一秒ごとに
存在が大きくなっていく彼。





そんな感情を
持て余し続ける私は
隣の音楽室のピアノの鍵盤に
ゆっくりと指を走らせる。





言葉にならない想いは
指先で
メロディーに託して
奏で続ける。




昔から心が乱れた時、
そうやって
自分自身と向き合ってきた。



小さな時からの
私のお呪い。



思う存分、
ピアノと向き合い続ける間に
チャイムはなり、
休憩時間になったばかりの
雪貴くんが
息を切らせながら扉を開ける。





「唯ちゃん」




呼吸を必死に整えながら、
音楽室の扉が
閉まったところで
私を抱きしめる彼。




彼はそのまま、
グランドピアノのボディーに
押し付けるように
私の体に接近する。




次に降り注ぐはずの、
ついばむ様な
柔らかいものに期待しながら
ゆっくりと目を閉じる。


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