Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】



えぇー、運転手って
ドラムの憲さんじゃん。


十夜さんの車に揺られながら
緊張に体を小さくする私。



居心地悪すぎる。



私って悲しいくらいに
庶民なんだ。





「唯ちゃん?」




遠い国に旅立つ
私を引き戻すように
雪貴が覗き込む。





反射的に体を起こした瞬間に、
触れた唇同士。





ビクっとした電流が走ったように、
雪貴を求めたくなる。




そんな欲求を必死に押し込めるために、
窓から外の景色を見ながら誤魔化した。




ごめん……雪貴。





貴方の優しさは、
今の私にはどれも刺激が強すぎて。





「十夜さん、憲さん、
 今日都合どうですか?
 
 百花さんの退院の日なんですよ。

 それで託実さんと
 スタジオ練習したいなーって
 話してたんです。

 兄貴のサウンドじゃなくて、
 俺自身がAnsyalと
 どうやって真剣に関わっていくかを
 見極めたくて。

 それで良かったら……」



突然、告げられた
雪貴の言葉に
私は窓から慌てて、視線を移す。
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