Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
いつも……そう。
雪貴は、こうやって一人で
次から次へと決めて
力強く歩き出していく。
「了解。
紀天【あきたか】ようやく、
動きそうやな
仕事が片付き次第、
顔出すわ。
全員で練習する日は、
決まり次第、連絡してや」
「はい。
託実さんにも伝えておきます」
そうやってメンバー間の打ち合わせを
こんなに近くに聞いてるなんて。
それって今の今まで
気が付かなかったけど、
今の私も、見る人がいたら、
凄く羨ましい雲の上の住人?
モンモンとするものを抑え込んで、
グルグルしながら揺られる高級車の中。
やがて車はゆっくりと
学院の中へと滑り込んでいく。
えっ、
ここってもう学院?
待った……。
ダメだって。
雪貴と一緒に通学って目立ちすぎるって。
しかも乗ってるのリムジンだし。
中に一緒に乗ってるのは、
Ansyalの十夜だよ。
運転してるのは、
憲だし……、もっと皆、
有名なんだから自覚してよ。
一人、焦っている
私の気持ちも知らずに、
リムジンは学院内でも
一握りの人しか使うことが許されない
VIP専用駐車場の方へと向かっていく。
VIP専用駐車場?
なんで?
どうして、十夜さんはこの学院のこと
こんなに知ってるの?
戸惑う私をよそに、
ガードマンの手続きも軽く終わって、
車は進んでいく。