Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
校内に響く、
チャイム代わりの琴の音色に
我を取り戻すと、
職員室まで猛ダッシュした。
刺激的な朝から続く、
いつもと変わらない学校生活。
一日の授業が
終わった退勤時間。
学校を出て駅へと向かう私を見つけた
雪貴は近くの喫茶店から追いかけてくる。
「お疲れ、唯ちゃん」
「うん。
さっ、雪貴。
買い物手伝って。
百花の退院祝いの晩御飯作らなきゃ」
途中、ATMに立ち寄って
お金を引き出すとそのままスーパーへ。
四人分の食材を買い込む。
半分ずつ持つ予定が、
一人でその荷物を持ってしまった雪貴は
テクテクと私の前を歩いていく。
「ねぇ、雪貴。
帰るのマンションじゃないよ。
百花のところ。
託実さんの家に行かないとなんだから」
「うん、知ってる。
だから向かってるよ、託実さんの家」
そう言ってテクテクと歩き続ける
雪貴の後を慌てて追いかけると、
後ろから荷物を一つ奪い取った。
雪貴が歩いていくのは、
同じマンション内の違うエントランス。