Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】





開場時間になり、
真っ先に飛び込んで
駆け抜けるドセン。

柵OK。
両足での踏ん張りOK。

久々の感覚。


どれだけ押されても、
絶対にここから
離れないんだから。



会場内に流れるBGMが
徐々に大きくなりはじめ、
ステージから
楽器を調弦する音が
ホールの方へと
広がってくる。



それだけで鼓動が高鳴り、
Ansyalの復活を待ち続けた
ファンから歓声があがる。






やがて会場内は暗転。

ステージの幕がゆっくりと開く。




ライトアップされたステージ。



overture。



旧Ansyalと新生Ansyalを繋ぐ
二つのフレーズから構成された
キラキラと輝く、神秘的な音色。


そのメロディーは
隆雪さんの持つ、
指に癖のある音作りと
雪貴の持つ、どこまでも均等に
つま弾かれ続ける
真っ直ぐな音色が混在する。



「憲ぃ!!」


ステージに現れた、
憲が一礼して、
ドラムの方へと移動していく。


「祈ぃ」


ギター担当。


祈も真っ白な羽根を背負って
身を包むとゆっくりと
微笑みかける。




「託実っ!!」



ステージ袖にいるらしい
百花の声が、
私の聴覚を刺激する。



ったく、百花は
やっぱり変わんないじゃん。




託実はステージ袖に
チラリと視線を向けた後、
ステージに飛び出してきた。



待ち続けたファンに、
軽く手を振りながらお辞儀。




今まで通りなら、
次に紡がれるのはTaka。


それだけで
鼓動が高鳴る。






「十夜っ」



ステージに現れたのは
十夜。



ドセン前。

がっくしと
うなだれた私。


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