Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
「なんやなんや。
せっかくの逢瀬や言うのに
俺に会いたくないなんて、
失礼なやっちやなぁー。
俺の顔見て、
あからさまにうなだれたやつ。
ちょっと、
正直に手ぇー挙げてみ?
あぁ。ほらっ、そこっ。
そこもさっき
そんな表情【かお】しとった。
ステージの上、見えんおもてるかもしれんけど
案外見えるんやで。
あぁ、そこの君もな。
あぁ、後お前なお前。
そこでドセン陣取って、
さっきあからさまに嫌な顔みせたお前」
毒舌にも似た十夜特有の
マシンガントークの後、
十夜が手を伸ばして、
私の方にマイクを向ける。
「ほらっ、かしたろ。
せーのーで、名前叫びや」
マイクを向けたまま
仕組まれたようにメンバー公認からの
歓迎を受ける私。
「せーのー」
「TAKAっ!!!」
十夜愛用のマイクを通して、
LIVEハウスの
会場内いっぱいに広がった
私の声。
雪貴のギターの音色が
時に切なげなに……
時に優しく、力強く
会場内に響き渡る。
嵐のような
歓声に包まれる。
メンバー全員が揃った後、
Ansyalは
隆雪さんが大切にしてきた
音源を熱演した。
興奮と感動に包まれすぎた
満足すぎる時間は、
会場内を暖かく包んでいく。
隆雪さんを慕い忍び
涙を流すファンの心にも
雪貴のギターが
寄り添っていく。
全てを乗り越えた
雪貴の演奏は
もう何処にも迷いがなくて
真っ直ぐに捕えて、
寄り添ってくる。
その不安も悲しみも何もかも
包み込むように
光を降らせながら
前半が終了し、
瞬く間にアンコール。
会場内から湧き上がった
アンコールの歓声に
答えるように
姿を見せたの
イメージチェンジした
TAKAだった。