いつか君に届け
青い空からの手紙
二十歳を過ぎ桜が満開の季節となった。今年の誕生日が来たら俺はもう21歳か。俺の21年間で学んだ事はなんだろう?桜が舞ってるよ壮ちゃん。あー電話か。実家?

『もしもし?』

『もしもし?慶ちゃん?今お仕事忙しい?電話大丈夫?』

『はい。お久しぶりです。お義母さん。慎二郎がお世話になっているのに何も連絡出来ずすいません』

『ううん。いいよ!慶ちゃんが元気ならそれでいい。今日電話したのは慶ちゃん宛ての郵便が届いたからどうしたらいい?送った方がいいかな?取りに来る?送るんだったら住所を聞かないとわからないしどうしたらいいかなと思って電話したの』

『あー。そうですか。すいません。取りに行かせて貰っていいですか?悠達にもおもちゃを買ってやりたいですし』

『うん!いいよ!じゃあ帰ってきて!悠達も喜ぶわよ!待ってるわね!』

『はい。ありがとうございます。失礼します』

実家の住所で登録したものなんか俺にはないと思うんだけど。なんだろ?

『こんにちは!慶太郎です!』

『おかえり!慶ちゃん!入ったら?』

『いえ俺仕事があるんで俺宛ての郵便を貰って帰ります。あとこれは悠達のおもちゃです。渡してやってください。悠はゲームソフトがいいって言ってたんで買ってきました』

『ありがとう!悠達もうすぐ帰ってくるのに。仕事なんだもんね。じゃあ慶ちゃんからって渡しておくね。えっとちょっと待ってね。はい!この手紙が昨日届いたの』

『そうですか。ありがとうございました。すいませんわざわざ電話頂いて。ご迷惑をおかけしました。失礼します』

螢桜大学?俺辞めたんだけどな。しかも俺は自分で入学金や学費を払ったし住所はマンションの方を書いたはず。なんで実家に届くんだよ。奥田貴之って誰?何か間違ってんじゃないんすかね。俺1度しか学校行ってないし友達はもちろん教授も知らねーよ。手紙?

(慶太郎へ。突然の手紙で驚いているだろうね。この手紙を読んでくれているのは二十歳になった慶太郎のはずです。慶太郎!成人おめでとう!この手紙を読んでくれていると言う事は君が生きてくれているのでしょう。慶太郎!生きててくれてありがとう。俺がお前のそばにいてやれなくて本当にごめんな。14歳になった君と最後に会えて本当に嬉しかったよ。俺がそばに居てやれなかった6年間を君はどう生きてきたんだろう。きっとお前の事だからお仕置きされるような事をしていないはずがないよね。悪い事をしたならちゃんと反省しなさい。反省とは自問自答を繰り返す事だと何度も君に教えたはずだよ。慶太郎!それでも君が辛い過去を背負って二十歳まで生きてきてくれた事を俺は褒めてやりたい。抱きしめてやりたいよ。よく頑張ったね慶太郎。10代の慶太郎はとても辛かったはずだよ。1番辛い時に俺が居てやれずごめんな。俺だってずっとお前のそばに居てやりたかったよ。幼い頃のお前にも何もしてやれずこれからだって時に神様は厳しいね。でも慶太郎には乗り越える事が出来ると神の判断なんだと俺は思う。俺が居なくても慶太郎は乗り越えて大人になってくれると信じているよ。慶太郎!周りをちゃんと見てごらん。俺が居ないかわりにちゃんと神の計らいで君を支えてきてくれた人達がちゃんと用意されているはずだよ。君が二十歳になるまでたくさんの人達に手を貸して貰ってきた事でしょう。しっかりと感謝をしなさい。君は1人で生きてきたんじゃない。そして1人で生きていく事が偉い事ではないんだよ。人間はみな1人では生きられないんだ。1人で生きているつもりでも結局誰かと繋がっているものなんだよ。それは目に見える存在であったり目に見えぬ存在であるわけだけど誰一人として1人で生きていると言う事はありえないんだ。それを君にはわかるようになってほしい。もちろん俺もきっと慶太郎には見えぬ存在として君を見守っているはずだよ。君の事が誰よりも心配だって言っただろう?俺はお前を愛してるよ慶太郎。だからこれからも辛いだろうけど生きてくれ。慶太郎!お前はやれば出来る子だ。君に乗り越えられない試練は与えられないんだよ。わかるね?慶太郎。君は賢い子だった。手はかかるけどね。君が俺に語ってくれる事を俺はちゃんと聴いているよ。耳をすませば見えてくるものをしっかり見つけなさい。風を感じて風を見る季節を感じて季節を見る自分自身を感じて自分に与えられている目的を見つけるんだ。慶太郎!約束だよ。俺が伝えた事を真の力で理解に達するまで生きなさい。俺のところに来るまでにちゃんと答えられるようしっかり経験を積み失敗をし慶太郎自身が身につけた真の力で生きている目的を見つけるまで俺は許さないよ。どんなに辛くても頑張りなさい。君は1人じゃない。わかったね?慶太郎!二十歳の誕生日おめでとうそして成人おめでとう。慶太郎!生まれてきてくれてありがとう。俺は君の父親になれて幸せでした。父より)

なんだよ。ズルイよ壮ちゃん。こんなのズルイよ。俺仕事行けないじゃん。壮ちゃんは俺を泣かすの得意だよね。また俺に難しい事を課題に出すし厳しいよ!壮ちゃん!いや!お父さん!ありがとうございます!成人のお祝いありがとう!思いがけない青い空からの手紙に俺は何年ぶりに号泣したんだろ?車の中で読んで良かった。壮ちゃん!俺頑張って壮ちゃんが出した課題にちゃんと答えられるように経験積んでみるよ。だって答えられないと許してくれないんでしょ。相変わらず俺には厳しいね。また二十歳からの俺の人生を今まで通り見守っていて下さい。俺が生きている目的をちゃんと見つけられるように。
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