いつか君に届け
転校
『慶ちゃん!新しい学校の制服が届いたよ。あと必要な物はない?』

『ないです』

『慶兄ちゃん!遊ぼう!』

『悠!また今度ね』

俺は私立中学を1年で退学になって公立の中学校へと転校する事になった。街で出会って名前も知らないまま遊んだ同じ歳の女の子を俺はバイクに乗せて死なせてしまった。俺は本当に生きてていいの?ねえ?壮ちゃん!俺だけなんで生きてるの?

『おい!お前転校生だろ?』

『だったら何だ?なんか用?』

『はあ?てめぇー私立行ってたからって調子に乗んなよ!』

『調子になんか乗ってねーよ!っぐぅ。うぅっ。いってぇーな!ハァハァ、っぐぉ』

『もういいよ!恭一!こんな弱いボンボンやっちゃったってつまんねーよ』

『待てよ!ハァハァ、俺はまだやれるぞ!』

『強がるなよ!お前じゃ勝てねーよ!坊っちゃんは勉強でも頑張ってろ!』

くっそー。絶対やり返してやる。俺は坊っちゃんじゃねーよ。

『おい!恭一くんだっけ?この前はどうも!』

『っうぐぅ、な、なんだよ!っく、いって』

『俺をなめんじゃねーよ!』

『っぐ、や、やめろ!うっぐぅ、わ、悪かった』

『お前らの頭は誰だよ?大輔って奴か?』

『っぐぅ、そうだよ!っく、でも大輔はやめとけ!っぐう、うぅ、お前じゃ無理っく』

『それは俺が決めるんだよ!』

『おい!お前何してくれてんだよ!恭一?大丈夫か?てめぇー仕返しかよ?ふざけんなよ!お坊っちゃんが!』

『ふざけてねーつうの!1ヶ月も学校来てねーから俺がビビって逃げたと思ったか?残念!やられたらやり返すでしょ!普通ですよね!俺は家に引きこもってたわけじゃないんだよ!』

『っぐぅ、少しは鍛えてきたんだな。坊っちゃん!っうぅ!』

『っうぅ!俺は坊っちゃんじゃねーよ!くたばれ!大輔!』

『うぁっぐぅ、ハァハァ、っぐぅ、まだだぞ!早く来いよ!慶太郎!』

『ハァハァ、っぐ、やっと名前で呼んでくれたね!じゃあ遠慮なく!ハァハァ』

『っぐ、ハァハァ、いってーっうぅ、ぐぅ』

『大輔!大丈夫か?俺らもやるぞ?』

『っく、ユズル!やめろ!っぐ、俺と慶太郎のタイマンなんだよ!っぐぅ!』

『ハァハァ、お、俺は何人でも相手出来るぞ!仲間呼べよ!っぐぅ、強がるなよ!大輔!俺の方がお前より強い!』

『ハァハァ、っぐ、あーお前の方が強いな。ハァハァ、でもまだわかんねーぞ。俺、最近鍛えるのをさぼってたからな。っうぁ、っぐ』

『あっそう。ハァハァ、じゃあ鍛えたら第2ラウンド開始でいいよ!俺にも少しは生きる楽しみが出来た。今度はしっかり鍛えてこいよ!じゃないとお前やっちゃうよ?俺を殺す気で来い!俺は命なんて惜しくねーんだから。お前らみたいにぬるい人生歩いてねーんだよ!次はもっと本気でこい!大輔!わかったのかよ!おい!こら!今やっちまうぞ!大輔!俺をやれ!』

『っぐぁ、うぅっ、あーわかったよ。慶太郎!俺もたいしてぬるい人生歩いてねーけど。ハァハァ、慶太郎!お前だけが特別じゃねーよ!』

『慶ちゃん!おかえり!どうしたの?大丈夫?』

『なんでもないです』

『兄貴!勉強教えて!これわかんないんだけどってどうしたの?』

『なんでもない。慎二郎!家庭教師に教えてもらえよ。俺、飯はいらねーからってお義母さんに言っといて』

『あっ、うん。わかった』

壮ちゃん。俺はなんとかやってるよ。でもやっぱ壮ちゃんと居たかったな。お仕置きは嫌だけど壮ちゃんは俺の居場所を作ってくれていたよね。俺があんなバカやらなかったら今も壮ちゃんと暮らせていたのにね。夏休みになったら遊びに行くよ。壮ちゃん!俺、何の為に生まれてきたのかな?俺の未来はどんな感じなんだろう?落ちこぼれた俺に未来なんかあるの?壮ちゃん!会いたい。
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