副社長は溺愛御曹司
今まで、気づく機会もなかったけれど、顔のつくりが整っているだけに、真顔のヤマトさんは、迫力がある。
私は気圧されて、うつむきそうになったのを、なんとかこらえた。
これは、わかってもらわなきゃ、いけないことだ。
ふとヤマトさんが手元に目線を戻して、再びキーを叩きはじめた。
「今後、気をつけるよ。おつかれさま」
こんなさみしい言葉、もらったことない。
どうしたの、ヤマトさん。
そんなに後悔してますか。
この悲しさを、どこにぶつけたらいいのかわからないまま、執務室を後にした。
すーず、と通用口で声をかけられた。
紀子だ。
「おつかれ、まだ仕事?」
「うん、夕食買いに出るとこ」
祐也とお別れした後、一度ランチに誘って報告すると、さすがにおおっぴらに喜びはしないものの、安心してくれたようだった。
お守りが効いたのかなあ、と言う紀子に、祐也の評価の低さを思い、苦笑がこみあげる。
ヤマトさんのことは言っていないけれど、異動については、オープンにして問題なかったので、伝えた。
飛び跳ねる勢いで喜んでくれて、ヤマトさんの力添えに感謝しないとね、と笑った。
「引き継ぎ、どう、順調?」
「うん。慣れてる人だから、ごくスムーズ」
ふうん、と駅までの道を歩きながら紀子がつぶやく。
「すず、ちょっと秘書に未練、あるでしょ」
「え…」
そう見えるんだろうか。
思わず紀子を見ると、さっぱりと美人な顔が、にやーと笑った。
私は気圧されて、うつむきそうになったのを、なんとかこらえた。
これは、わかってもらわなきゃ、いけないことだ。
ふとヤマトさんが手元に目線を戻して、再びキーを叩きはじめた。
「今後、気をつけるよ。おつかれさま」
こんなさみしい言葉、もらったことない。
どうしたの、ヤマトさん。
そんなに後悔してますか。
この悲しさを、どこにぶつけたらいいのかわからないまま、執務室を後にした。
すーず、と通用口で声をかけられた。
紀子だ。
「おつかれ、まだ仕事?」
「うん、夕食買いに出るとこ」
祐也とお別れした後、一度ランチに誘って報告すると、さすがにおおっぴらに喜びはしないものの、安心してくれたようだった。
お守りが効いたのかなあ、と言う紀子に、祐也の評価の低さを思い、苦笑がこみあげる。
ヤマトさんのことは言っていないけれど、異動については、オープンにして問題なかったので、伝えた。
飛び跳ねる勢いで喜んでくれて、ヤマトさんの力添えに感謝しないとね、と笑った。
「引き継ぎ、どう、順調?」
「うん。慣れてる人だから、ごくスムーズ」
ふうん、と駅までの道を歩きながら紀子がつぶやく。
「すず、ちょっと秘書に未練、あるでしょ」
「え…」
そう見えるんだろうか。
思わず紀子を見ると、さっぱりと美人な顔が、にやーと笑った。