副社長は溺愛御曹司
元から、最終日の今日、送別ランチをごちそうしちゃうよ、と延大さんが言ってくれていたんだけれど。

昨日のあれこれの影響で久良子さんとヤマトさんが加わり、ついでにと和之さんが呼ばれたのだった。

ちなみに夜は、部署と役員がそろっての、公式の送別会がある。



「神谷ちゃんが、ついにヤマトのものかあ」



延大さんが、しみじみと言った。

昨日の今日で、そんな言われかたをすると、さすがに気が早い気がして、居心地が悪い。


どうやらこの兄弟の間に、あんまり秘密ごとはないらしく。

というより、いつの間にか、必ずどこからか情報を仕入れてくる延大さんには、何を隠しても無駄らしく。

ヤマトさんは、やはり走り去る私たちに気づいていた延大さんに、そのことを訊かれたついでに、全部話したらしかった。

それでどうして和之さんまで知ってるんだろうと思うけれど、彼は独自の勘で、呼ばれた瞬間、何かを感じとったようだ。



「タチ悪い弟だけど、捨てないでやってね」

「タチ悪い?」



はあ、と息をついて延大さんが言う。

ぽかんとしていると、和之さんが、ほんとタチ悪い兄ですが、よろしく、とお吸い物を吹きながら同意した。


え、どういうこと。

目を瞬く私を見て、和之さんも、少し驚いたように目を見開く。



「僕たちの中で、一番女の子に縁があるの、誰だと思います?」



縁があるって…そういう意味で?

そりゃ、キャラ的に延大さんでしょ、と思うけど…。

でも、この流れでの、この質問てことは。


…ヤマトさん、なの。

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