副社長は溺愛御曹司
正解、と延大さんがため息と共に言った。



「この、爽やか運動部キャラで安心させといて、油断して近づいた女の子を、片っ端からペロリよ」

「高校時代から、地味に派手だったよね、兄貴は」



私は、ふたりがあることないこと言っていて、いい加減にしろ、とヤマトさんが怒るんじゃないかと、思ったんだけど。

というか、それを願ったんだけど。


正面の席に、目をやると。

ヤマトさんは、テーブルの上に腕を組んで、にやにやと、困惑する私を眺めていた。

まさか。



「…本当なんですね」

「俺は別に、キャラつくってるわけでもないし、いつだって普通にしてるだけだよ」



思わず平坦な声を出す私を、さらりと受け流して、なんでもないことのように、食事を続ける。



「向こうから、勝手に射程圏内に入ってきてくれるんだもん。そうしたら、いただきますって、なるだろ」



仕方ないじゃん、とでも言うように眉を上げてみせるヤマトさんに、二の句が継げない。


いただきますって、どういうことよ。

この人、誰よ。



「…2年、彼女なしというのは、信じていいんですよね」

「いいけど、女の子、切らしてたなんて、言ってないからね」

「ほんと、最悪だな、お前…」



最悪、と和之さんもうなずく。

私は、耳にするすべてが信じられない思いで。

食べるのも忘れて、ヤマトさんを凝視した。



私、もしかして。

男を見る目が、ないのかな。

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