副社長は溺愛御曹司

ちょっと、ちょっと。


初めて上がった、ヤマトさんのマンションで。

リビングにもたどり着かないまま、私は寝室に引っぱりこまれた。



金曜日である今日は、トップ同士が仲のいい同業他社との忘年会で。

ごく少人数で、隠れ家のようなバーを貸しきって行われたそれに、私たち秘書も随行していた。


お開きになり、同じ方向なので、ヤマトさんとふたりで電車に乗った時。

泊まりにおいでよ、と急かつ非常にストレートな誘いを受けたのだ。


会社にほど近い駅から、歩いてすぐの場所にあるそのマンションは、独身からDINKS用といった感じの、スマートなつくりで。

玄関を入ると、正面にリビングが見えたので、1LDKかと思いきや、手前にごく小さな部屋がもうひとつある、2LDKだ。

贅沢。


玄関のすぐ横の、その部屋をのぞかせてもらうと、なにやら機材とケーブルがひしめきあっている、完全に趣味のスペースだった。

へー、とドアの隙間から眺めていたら、いきなり肩をつかんで振り向かされ、キスをされた。

まだ上がったばかりで、コートも脱いでいないのに、ぎゅうと抱きしめられ、散々に唇を奪われる。

待って、待って。



「この家さあ、寝室が玄関からすぐなのが、いいとこなんだよね」



寝室!?

ていうか、それが「いいとこ」って、どういうこと。


唇を合わせたまま、ヤマトさんがすぐ背後のドアを開けて、私をそこにつれこんだ。

不自由な体勢で、引きずられるように部屋に入った私は、室内を見回すヒマもなく、柔らかいスプリングの上に倒される。

見ればそれはベッドで、確かにここは寝室だった。

開けっ放しのドアから入る廊下の明かりで、この部屋にも簡易のデスクと、PCがあるのが見える。

いったい何台あるんだろう。

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