Garnet~大好きの伝え方
「すみません先生。溜め息はこらえます」

「わかればいいんだよ、わかれば」

ひょいと肩をすくめる先生の手には、コンビニのカツ弁当。

そしてお供は当分高めのミルクティー。

ついでにベッドの上、僕の太ももの横辺りには、エクレアが置いてあった。

デザートなのは言うまでもないだろう。

保険医のくせに栄養なんか考えてないらしい。

顔はそんなに悪くないのに性格と生活がざっくばらん。

怪我の治療どころか、余計ひどくされるんじゃないだろうかと言われるのが彼女、真木先生だ。

マギ……

なんだか魔法使いのような響きだけど、この保健室には大鍋もイモリの黒焼きも置いてないから大丈夫だ。

ちなみに当人の前で、もう三十に近くなっているのに独身であることは禁句。
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