Garnet~大好きの伝え方
もしかして、「うむ」とうなずくためだけに立ち上がったんだろうか。

彼女はまたすとんと腰を下ろした。ただしなにげに、足を崩す向きを逆にして。

西村さんは言った。

「ヨシくんは加奈ちゃんをきっと大事にしてくれるって、信じてたの。ううん、今だって信じてるよ?

でも一方で、ヨシくん自身が加奈ちゃんを大事にしてくれるか、不安だったの」

「それってつまり……僕が加奈をだれかに押しつけるってこと?」

「うん。そう。そゆこと」

なんてこった。要するにそれは、まさしく『いま』じゃないか。

加奈を大事にしたくて、傷つけたくなくて、だから北川に譲った。押しつけた。

西村さんの言う通りだ。
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