Garnet~大好きの伝え方
ヨシに名前を呼んでもらえるっていうことが、こんなに、一瞬で気道まで締めつけられるほど嬉しいだなんて、初めて痛感した。

違う、改めて、知った。

当たり前のこと、いつのまにか失ってしまって、それが痛みになっていたこと――

それに気付けた幸せと充実感で、頭も胸もおかしくなりそうだ。

だからか、なんだか胸の内側がさっきまでとまったく違う理由で熱くなってくる。

どきどきじゃない。

どくどく、ばくばく、してる。

ヨシはまだ、こっちを見てる。

その黒い瞳は、何十年も見られなかったみたいに、私を狂わせる。

たぶん、今の私の心こそ、『狂喜』っていうんだ。

きっとそうだ。
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