Garnet~大好きの伝え方
おろおろしていると、ヨシは北川くんへ一歩詰め寄った。

「言ったよな、北川……。僕は、加奈を守れって。今のは、じゃあどういうつもりなんだよ!」

「ちっ、うるせぇっつってんだろ」

と、北川くんは面倒くさそうに舌打ちする。

ふわふわした髪に指を入れて、乱暴にかき揚げるさまは、まるで不良みたいだった。

こんな時なのに、剣道部より演劇部に入ったらどうかまで思うくらいの演技で、北川くんは悪ぶる。

「好きな女の子と一緒にいて、ああいうことしたくない男がどこにいんだよ。

守るってどういうことだよ。

俺は今、なんか悪いことしたんすか、先輩?」

北川くんが私のことを諦めたっていうのは、まだヨシには伝わってない。

だから北川くんも、私のことをまだ彼女扱いして言っていた。
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