Garnet~大好きの伝え方
「男だったら、好きな女の子のなんでもほしいじゃないっすか。

先輩、違うンすか? 好きな女の子がそこンいて、抱き締めてぇとか、キスしてぇとか、そういうの――」

途中、ヨシを抜かして北川くんの視線が私だけを捉えていた。

少し、どきっとする。

諦めたっていっても、それでもやっぱり、彼にとって私はそういう対象――

『好きな女の子』なんだ。

たぶん、彼が宣言した通り、これからも彼の中ではずっと。

「――そういうの、全部が全部我慢するってンすか? それが、守るって意味なんすか?」

「そうだよ……」

と、その時、花火が夜空に薄れていくみたいに、ヨシの怒りが霧散したように見えた。

長く、息を吐くのが聞こえた。

「――――少なくとも、僕にしてみれば、そうだった」
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