キスマーク
ヒロは女を―…年上の女の心を擽る魅力がある。
それにまんまと惹きつけられそうで怖い。
出逢いは失恋してまだ一ヶ月の夜。
寂しさを紛らわすように、痛みを紛らわすように抱き合った相手。
一哉と別れた後は私はヒロしか知らない。
そんな状況が私にヒロへの特別な感情を抱かせようとしている。
特別な感情を抱いたって、結局は無駄になってしまう年下の男に“恋をしている”なんて錯覚をみてしまったらダメ。
と、その瞬間、
「っ……!」
首筋に感じた小さな痛み。