キスマーク



「なら良かった。というか、鈴原さんに断られるかな、って少し思ってた」


「どうしてですか?」


「うーん。何となく。雰囲気が」


「そんなことないですよ。多分、仕事終わりで飲んだので少し大人しく見えたのかもしれないですね」


「本当に?」


「はい」



そんな会話のやり取りをしながらも、本当は少しドキッとした。


断る前提で仕方なく来たわけではないし、むしろその逆で、新しい出会いを私は求めてた。


久瀬さんの第一印象は良かったし、会話を進めても良い印象のまま。


私はそう思いながら久瀬さんの前に座っていたのに、“雰囲気が”なんて言われてしまうということは―…


自分が思うよりもずっと、密かに抱えているつもりの想いが顔に出ているのかもしれない。



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