キスマーク



でも、“ヒロとのこと”。


麻里になら言ってもいいんじゃないかって思う。性格は似てるってわけでもないけど、一緒に居て気疲れしない貴重な友達。波長が合うし、会社以外のプライベートでも会う仲。


元彼の一哉も紹介したことがあるし、別れて凹んでた時だって麻里には色々話を聞いてもらったし励ましてもらった。


だから麻里になら、あんな時期に出会ってそれからズルズルと続いてしまっているヒロのこと―…正直に話してもいいと思う。


私にセフレがいたからって、麻里は軽蔑するようなタイプじゃないし、きっと色々と相談にも乗ってくれるはず。



なのに、話せない。


なぜか言えない。隠してしまう。



こんな風に突っ込まれても、結局は言えないまま、だ―…




「で、医者とは仲良くするつもりなんでしょ?」


「うん。そのつもりだけど……」


「まぁ仮にね、仮に詩織にこっそり相手がいるとするじゃない?」


「だからっ」


「まぁ聞いて詩織サン。仮にいたとしても私にも話さないってことはまともな付き合いには昇格しない相手なんだと思うのね」



だからさ、と、麻里が私を見る。



< 149 / 207 >

この作品をシェア

pagetop