キスマーク
「何食べるー?」
「うーん……今日の日替わり見て考える」
「あー日替わり良いねぇ。今日のメイン、何のパスタかなぁ」
「さぁ、何だろう」
「私はねぇ、和風だと思うわ。キノコたっぷりの」
「和風、ね。麻里がそう言うとそんな感じするわ」
「じゃあ、詩織は何だと思う?」
「……和風パスタ。茸たっぷりの」
「何それ。それじゃ賭けにならないでしょ!」
「賭けなんて何時決めたのよ……」
「え?たった今。当たったら外した側が奢るとか、どう?」
「やだ。当たる気しない」
財布を片手に、そんなやりとりを麻里としながら歩く。お昼時。オフィスビルが並ぶこの辺りの通りは私達と同様に、休憩に入ったサラリーマンやOLが多い。
「っていうか、席空いてなかったりして」
常連になっているイタリアンのお店はなかなかの人気店。賭け以前の問題で座れるかどうか何じゃない?と思う私。
そんな私の言葉に、
「えぇー詩織がそう言うとそんな気してきたぁ」
と、麻里までも。
「じゃあさぁ、裏のイタリアンがダメだったら何処にする?」
麻里がそう尋ねてきたので、「うーん」と、私も歩きながら考える。この近くに他のイタリアンのお店は―…確か、その並びにもう一軒最近出来た店が―…
そう思った瞬間、
「詩織?」
後ろから男性の声で名前を呼ばれた。