キスマーク
気をつけないとな……
そう思いながら、キュッとスカーフを結び直す。
そして、
「おはようございます」
と、挨拶をして秘書室に入る私。
パソコンに向かって、朝一のメールチェック。役員のスケージュール確認、来客応対……朝の挨拶からお昼休みまでは、あっという間に時間が経過していく。
正午。よりも少し過ぎて、
「詩織~…ランチに出よぉ」
そう、フラフラな状態で声をかけてきたのは麻里。
「……やつれた?」
「主任に今日中のファイリング頼まれてさぁ……超特急で終わらせた」
「それはお疲れ様、だね」
「19時からエステ予約入れちゃったしね……何時もより2倍増しで頑張ったから、お腹空いたぁ」
「食堂行く?」
「いや。今日は外で食べたい。ていうかパスタ食べたい」
「じゃあ、裏のイタリアンにする?」
「決まり」
そんな会話をして私と麻里は会社を出る。裏通りにあるイタリアンは通いなれた店。