キスマーク



そっと、


ヒロが私の頬に伝う涙を拭う。そして、掌で触れる。


かぷっ、と、


私の耳たぶを噛むヒロ。



「ダメよ……こんなところで―…」


「わかってる」


「なら、待って」



「じゃあ、せめて―…しるし、つけさせて」



ヒロが早速強請るのは、何時ものマーキング。でもね、これからは“それ”も、もっと別の意味に変わるのかな。


素直にヒロを受け容れる姿勢をとれば、



「っ」



首筋に感じる熱い温もり。



「シオリさん―…大好き」



ヒロから注がれる愛の言葉。


そして、



「俺にもつけて、シオリさん―…」



そう強請られ、そっとヒロの首筋に吸い付く。




お互いに付け合ったキスマーク。




先約アリっていうだけの印じゃない。






これからは、“あなたが好き”っていう二人の愛の証。






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