キスマーク



込む昼時だけど、お目当てのイタリアン店はちょうど良い具合にお客が回転して席が空いていた。本日の日替わりメニューを見ると麻里の予想通り、メインは和風きのこパスタ。



「ほら、当たったでしょ~」


「さすが麻里。凄い」


「詩織ってば気持ちこもってなーい。あ~、この流れで明日の合コンも当たるといいんだけどー」


「どんな流れよ……」



そんな会話をしているとウェイターさんがやってきて、私達は仲良く日替わりをオーダー。引き続き麻里とおしゃべりしながら、日替わりランチが運ばれるのを待っていると、


ブーッ、ブーッ―…と、制服のポケットに入れてあった携帯電話が振動を始めた。



「麻里、ちょっとごめん」



そう麻里に断って、誰?と思いながら携帯を取り出し、画面を確認する。



と、



「……」



画面に表示された着信相手の名前を見て、一瞬固まってしまう私。



そこに表示されている名前は“ヒロ”の二文字。



何でこんな時間帯に……?



と、思ってしまう。だってヒロから連絡がある時間帯は殆どが19時以降。



急な用事が、とか?



そう一瞬思ったものの、私達の間に急を要する用事なんてない。



振動を続ける携帯を持ったまま、出るべきか、出ないべきか、と考えてしまう。



一人の時ならまだしも目の前には麻里。仲の良い麻里にさえ、ヒロとの関係は話していない。




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