キスマーク
「着信でしょ?出ないの?」
「うん―…まぁ……」
「何そのリアクショーン。何か都合の悪い相手なのぉ?」
携帯に出ようとしない私を見て麻里が“理由アリ着信か”と怪しむ。
「あっ、もしかして……さっき会った、一哉くん、とか??」
「まさか。一哉じゃないけど……」
「でも、男からなんでしょ?」
麻里の鋭い言葉に、ドキッとする。と、同時に携帯の振動がピタリと止まった。架け直すこともなく、ポケットに携帯電話をしまう私。
「なるほどぉ」
麻里が呟く。
「何が“なるほど”……」
「合コンに誘っても詩織がイマイチ乗り気じゃないのって、男がいるからなんじゃないかなーと」
「いや、そういうわけじゃないし……」
「でも、一哉くんと別れて半年以上は経ったでしょ?“別れあれば出逢いアリ”っていうし―…私の知らない所で、実は新しい男がいたり、なんて思ってね」
“新しい男”という言葉に小さく反応しながらも、ポーカーフェイスを心がけて麻里と会話をする。