キスマーク
コートのポケットを手袋代わりにして、夜空を見上げて月を追うように飲み屋街を歩いていた。
ついさっきまで男女6人でワイワイ飲んでいたのに、急に一人になると現実を突きつけられているようで無性に寂しくなる。参加していた飲み会は、失恋した私を慰めるかのように麻里がセッティングしてくれた合コン。
まだ失恋を引きずってる状態だったから、誘われた時はあまり乗り気じゃなかったけど思い切って参加して……
思い切って参加したものの、結局良い出会いもなく―…
まぁ、人生そんなに都合良くは進まないか、と溜め息を一つ。真っ直ぐに帰るのもつまらないから、行きつけのバーにでも寄ろうかぁ、なんて考えていた時、
「おねーさん、」
と、いきなり声をかけてきた相手。それがヒロ。
つまりナンパだった。
「おねーさん帰り?それともどっか行くの?」
「さぁ……どっちでしょう……」
「一人だよねー?」
「さぁ……どうだろうね……」
明らかに年下男からのナンパ。
何時もならこんなナンパ相手にしないけど、失恋直後で合コンも不発だったからか、中途半端に相手をしてしまう私。