キスマーク
手を引かれて、連れて行かれた場所は雑居ビルの一階の端っこにある小さなバー。
店員さんは男性二人。若いけどバーテンダーって感じで、まぁまともそう。普通にお客さんも居るし……とりあえず変な店では無さそうだな、そう思ってカウンター席に座る。
「いらっしゃいませ」
席に着くと同時に店員はスッとメニュー表を出して来て、コースターと灰皿をカウンターに置く。
「何から飲みますか?」
「奢りなの?」
「勿論」
「じゃあ、カシスオレンジ」
「可愛いね。何か意外」
「―…じゃあ、ジントニック」
「じゃあ俺、カシスオレンジ。可愛いでしょ?」
「何それ……意味わかんないし」
そんな会話のやりとりの後、
「ジントニックとカシスオレンジで」
と、彼はバーカウンターの中にいる店員にオーダーする。