ダイス



「警察だ」


深水は低く、静かな声で部屋の中に語りかけた。


すると返事はなく、代わりにことん、という何かを置く音がした。


深水は入るぞ、ともう一度声を掛けてから、ゆっくり扉を開けた。


するとまず視界に飛び込んできたのはどす黒い赤色だった。


黒に限りなく近い赤は、狭い事務所の床半分に広がっていた。


数歩進めば、靴の底にそれはついてしまうだろう。


そしてそれは、変色した血だった。


部屋の中は更に生臭く、鼻がおかしくなりそうだった。




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