ダイス



血の広がった床から、ゆっくりと視線を上げる。


するとそこには血塗れの青年が立っていた。


あっさりとした顔立ちに思えるが、よくよく見ると彫りが深い。


黒髪は短く切り揃えられていて、清潔さを感じさせる。


彼の爽やかさと血腥さは不釣り合いなものだった。


彼は佇んだまま、静かに深水を見てきた。


何の言葉も発することなく。


それから恐ろしい程にゆったりとした動きで顔を右に動かした。


深水は拳銃を構えるのも忘れて、彼の動きにつられた。


彼の視線の先には、部屋の隅で震える少女がいた。




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