ダイス




「君が……刑事だというのは知ってる」


明良の言葉に紗江子は衝撃を受けた。


気付いたわけではなく、最初から知っていたのだろう。


だとすると、彼は偶然を装って自分に近付いてきた可能性が高い。


紗江子は小さく睨むように明良を見た。


騙された、だとか裏切られたという感情などない。


ただ思うことは、何の為に、それだけだ。


何が目的で自分に近付いてきたのか。


明良は紗江子の視線を感じると、そう睨まないでよ、と笑った。


その顔をやはり可愛いと思ってしまう自分がいる。



.
< 155 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop