ダイス



「……人を殺したことがあるのね」


紗江子はテーブルに置かれたアイスコーヒーに視線を移した。


グラスはうっすらと汗をかき、それがテーブルの上に滴っている。


人を殺したことがあるとして、服役を終えているのか、それとも逮捕すらされていないのか。


もし後者だとしたなら、直ぐ様然るべき対処を取らなくては。


そう考えると手が震えた。


殺人犯と対峙するのは何も初めてではない。


でもそれは取調室でのことだ。


そして、相手がどういった殺人を犯したのかも知っている。


ただ人を殺した。


それだけの情報で殺人犯と向き合うことなどない。




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