ダイス




紘奈は大きく溜め息を吐いた。


紗江子から聞いた話に信憑性はない。


その男が紗江子を刑事だと知り、からかっている可能性だってある。


でも、と思う。


それなら今の犯行も自分だと言わないだろうか。


からかうだけなら、嘘は大きいほうが面白い。


「そんな顔をしてると、微妙な顔が更に微妙になるぞ」


煙草の臭いと共に笹木の声がした。


「……笹木さん」


夜の囲われた喫煙所なら一人になれるかと思ったが誤算だったようだ。


熱心な人間はどうやらこんな時間でも残っているらしい。


腕時計は二十三時を指している。




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